『日本女子フィギュアスケート公認ブック 2007-2008』 (マガジンハウス) のレビューです。
◆概要:
・発売日: 2007年10月12日
・価格: ¥1,575
・ページ数: 95
・内容: ここ数年、毎シーズン出ていた、日本女子フィギュアスケートのオフィシャル応援ブックが、少し形を変え、出版社を変えて出てきました。…といっても、例年どおり、お馴染みの青嶋ひろの氏がおそらく一人でインタビューして執筆したものだからなのか、ほぼ例年どおりの内容で、
質・量ともに充実しています。選手10人へのインタビューが中心です。
◆構成、および印象に残った記事など:
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安藤美姫 (8ページ)
スケートに対する気持ちが弱くなっていて相当悩んでいる様子。燃え尽き症候群になったのかと思われるような話が中心。世界選手権について「…あそこでふたり(浅田真央、キム・ヨナ)がベストの状態だったら、まだ私は彼女たちの下のレベルでしかないことも自分でわかっている…」とか。
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浅田真央 (8ページ)
中京大学のリンクができてうれしいという話。エキシビションは対照的なプログラムを2つ作った話。タラソワに心酔している様子が伺える話など。世界選手権のフリーの演技についても「あとから見直すと、ちょこっちょこっと失敗してるのがわかって、まだまだだなあって思う」だとか。試合と練習に対する考え方の違いなど、全体的にポジティブで前向きな話が多い。2季前は子供の雑談のようなインタビューだったが、ずいぶん違う。
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中野友加里(8ページ)
卒論のテーマは「モチベーション」で、自分自身が研究対象なんだとか。世界選手権は5位では満足できないので、今季はシーズン初めから全力疾走で行こうという強い意気込みを語ってくれています。
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村主章枝(6ページ)
ロシアでの一人暮らしの生活の様子は興味深いです。スケートをどう見せるか、についてはまだ日本の若い選手は欧米に追いつけていないという話は、いつもの村主らしく哲学的です。ソチ五輪のときは33歳・・・という話までしてくれています。
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澤田亜紀(4ページ)
濱田コーチのチームは仲がいいという話や、NHK杯に出ることになってびっくりという話、先輩の高橋大輔に刺激を受けた話など。闘志が見えてこないことをコーチや著者が嘆いている様子。
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武田奈也(4ページ)
シニアのグランプリシリーズに出ることがよほど嬉しいらしい。早稲田で同級生の卓球の福原愛とはよくメールしているとか。今季は四大陸選手権に出るのが目標だそうな。
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浅田舞(6ページ)
怪我をしていた間も充実した生活をしていた様子。ロシアではタラソワによく怒られたとか。自分が世界的なコーチ達の指導を受けられるのは「真央がいるから、ですよね」とも。世界選手権の真央の演技を見て、本当の意味で感動して泣いた。それで、自分も世界選手権に出てみたいと思うようになったそうです。
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鈴木明子(6ページ)
摂食障害で、スケートどころかまともな生活もできなかった時期のことが克明に語られています。そこからユニバーシアードで優勝し、大学卒業後も企業の契約選手として活動できるようになったことなど、復活の過程は興味深いです。
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太田由希奈(6ページ)
カナダでキム・ヨナと同じリンクで練習していたときの話、樋口コーチの人脈の話など。一昨年、引退を考えてちょっとした就職活動をしたという話も面白い。
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水津瑠美(4ページ)
演技中に笑うのが苦手だそうです。ルッツとフリップを跳ぶことが課題だとか。
○ その他の特集記事など:
・ジュニア選手、外国人選手、強化選手以外の注目選手の紹介(もっとページを割いてもいいのでは…)
・イタリア・クールマイヨール合宿レポート(楽しそうですね)
・夢のコスチューム(浅田真央の金魚の衣装は…、微妙なような)
・荒川静香のトップ選手の分析(村主についても厳しいことをきちんと書いています…)
・各選手へのアンケートとデータ(使用プログラムの履歴が書いてあるのがうれしい。各選手の色紙も。浅田真央の「みんなを幸せにしたいデス」というのがいいですね)
・伊東秀仁フィギュア強化部長への取材(ルール変更への対策に関する話など)
◆全体の印象など:
・昨季のオフィシャルファンブックは、変わった形での出版だったため、立読みで済ませてしまったのですが、今回は買いました。2季前のも買ってたのですが、それと比べると、分量は変わっていませんが、特に
上位選手のインタビューの話の質が向上しているように思いました。選手の意識が高くなったからでしょうか?
・表紙が1選手(安藤美姫)のみというのは、従来と違いますが、どうなのでしょうか。従来のほうが賑やかで良かったようにも思いますが…。ちなみに裏表紙は浅田真央でした。2季前の裏表紙はロッテのチョコレートの広告だった。
・写真は、2季前のより少なくなったようですが、それでも
綺麗な写真が多いですね。
・しかし、2季前よりも、価格が大幅に高いです(2季前のは880円だった)。まぁ、それまでが安すぎただけで、昨季も同じ値段だったし、適正価格なのでしょうね。
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